Interview
取次最大手の
視点から、
日本の物流を
変革する。
石津 理羽Riu Ishizu
流通計画室
物流
2017年新卒入社。誰かにとっての大切な場所をつくりたいと考え、まちづくりや空間づくりを提案できる企業を中心に就職活動を行う。街の文化の拠点となる書店に関わり、本と出会える場所づくりができるところに惹かれて日販に入社。物流こそが人々に豊かさを届ける基盤であると考え、現在は物流拠点再編などの物流企画に取り組む。
物流は、人々の生活を
支える社会基盤。
物流は、普段の生活から見えにくい仕事かもしれません。しかし実は、私たちの生活基盤を支えているのが物流です。なかでも、本を中心とした物流を支えるのが私たちの仕事で、約3,000社の出版社から、全国約5,000軒の書店へ本をお届けしています。より早く、より正しく、より安く商品を届けるために意識するべきポイントは大きく3つです。最初に、「作業の効率化」。各拠点における商品の仕分けや梱包などの作業に無駄が無いか、新たな設備やシステムを導入し、その作業を効率化できないかなどを検討します。それから、「配送の効率化」。効率的に商品を運ぶためのよりよいルートや手段を検討します。最後に、「ルールの統一」です。各取引先や拠点ごとの古くからのルールや慣習を緩和し、標準化をはかることで、よりよい物流をつくっていきます。
変革を起こす人は、
コツコツとした準備を疎かにしない。
実は出版社へ本を注文するとき、データではなく紙の注文書がまだまだ使われています。紙に書かれた注文書の内容を見て、再度私たちがデータを打ち込む。この過程をもっと効率化したいという想いから、各出版社へデータ上で注文のやりとりをしてもらえないか交渉を進めました。100社ほどの出版社へ交渉した結果、1年間で紙での注文は20%ほど削減。大幅に作業効率が上がり、コストを抑えることができました。……とお話すると、スムーズにいったように聞こえるかもしれません。実際のところ、交渉は非常に難航したのです。長年続いたルールや慣習は、そう簡単に変わるものではありません。1社ずつ、意図を説明し、メリットをお伝えし、その都度必要な対応を検討する。変化を生むためには、地道でコツコツとした準備も欠かせないことを、この経験から学ぶことができたように思います。
物流会社がマネしたくなる、
日本一の物流へ。
これまで出版物の配送は、厳格なルールや制約のもとに行われてきました。ただ、少量の出版物が乗っているトラックも、荷物をたくさん乗せて運ぶトラックも、運転手1人がトラック1台を動かしていることに変わりはありません。1台のトラックになるべく多くの荷物を載せられないか、出版物以外の商材も一緒に載せられないか検討し、より効率的で安価な配送を実現する必要があります。今後は出版業界外の企業とも手をとるために、配送をオープン化していく。そして配送のオープン化を見据えた物流拠点を構築する。これが私たち物流部門のミッションです。出版業界に限らず、これからは各企業が協業しながら、より効率的な物流のあり方を考えていく時代だと思います。私たちは、毎日350万冊以上の出版物を約5,000軒の取引先に届けることができる、確立された物流網と、蓄積されたノウハウを持っています。それらを活かすことで、出版業界のみならず、物流業界へもインパクトを与える存在となれるかもしれません。物流は今後、ますます進化が期待される面白い分野だと思っています。日販の物流は、日本一。いつかそう言われるのが、私の密かな目標です。