Interview
書店を通じ、
新たな文化や
習慣を。
濱中 諒太朗Ryotaro Hamanaka
NICリテールズ(株)
※当時 ブラス(株)
店舗運営
2020年新卒入社。本や映画が好きだったことから出版業界へ興味を持ち、「出版業界の中核」だと感じた日販への就職を決意。常にお客様目線の売場づくりを意識しており、従業員としてではなく、イチお客様として店舗を見回しながらがモットー。自分なりの提案を重ねることにチャレンジしている
店舗運営は、会社の経営と同じ。
店舗運営の仕事は、大きくふたつあります。ひとつ目は、店舗の経営。売上や利益の管理はもちろん、本の仕入や在庫の管理も担います。特に本や雑貨の仕入は、商品の利益率やお客様からのニーズなど、さまざまな要素を加味することが重要です。敷地を別の店舗に貸して、賃貸収入を得るというのもひとつの手。お店全体でどう利益を生み出すかは、小さな会社を経営することと同じです。もうひとつの仕事は、売場づくり。何気なく並ぶ書籍や雑貨にも、実はお店なりのこだわりが詰まっています。私が働く店舗は、お客様への生活提案を軸に掲げる店舗。季節のイベントにあわせて売り場を変え、+αの付加価値を提供することを大切にしています。ひとつのコンセプトに沿って本を集め、関連グッズなどもあわせて紹介するフェアをはじめとした店頭施策は売上を大きく左右するため、特に力を入れています。
企画ひとつで、売上は倍増できる。
私が企画して、実際に数字として結果を出すことができたのは、『眠れなくなるほど面白いシリーズ』という学問系書籍のフェアです。ちょうど、シリーズもので異なる売場に展開されている商品を集めたら、売上につながるのではないか、と考えていた時のことでした。一部の人だけに刺さるのではなく、多くの人の興味を引くものにしよう。週末の方が売上の伸びる店舗だから、休みを利用して読めるちょうどいいボリュームの本にも需要がありそう。そんな発想のもとに提案したのが、学問系の書籍をシリーズ全て揃えつつ、その中でも興味を引きやすい『眠れなくなるほど面白いシリーズ』を目立たせる、というもの。この企画は大成功となり、他フェア平均売上額の2倍を記録。売場づくりは設計や企画次第でお客様の気持ちを動かし、売上につながる。その面白さを、今まさに学んでいるところです。
書店は、出版業界の最前線。
本は、文化や習慣をもたらしてくれるものだと私は思います。『眠れなくなるほど面白いシリーズ』をきっかけに、全く興味のなかった分野にハマる人や、ハロウィンやクリスマスなど季節ごとのブックフェアを店頭で見て、自宅でイベントを楽しむ人もいるでしょう。生活をもっと豊かにできる提案を、その地域やターゲットに合わせて、書店は行うべきなのだと思います。そのためには、ただ本を置いているだけではもったいない。個人経営の個性の光る書店にもひけをとらない、コンセプトがしっかりした売り場づくりで、お客様の買い物ごころをくすぐる演出をしてみたいと考えています。書店は出版業界の最前線であり、お客様との接点です。新たな文化や習慣をもたらす提案を、何度でも考え続けていきます。